はじめてのスパーリング経験で何もできなくて、中国拳法に興味を持つ

高校生の時

中国拳法にも興味を持つ

少林寺拳法を選んだ理由は、当時の自分が中国拳法に強く引かれていたからだ。特に、神秘的な力に憧れを抱いていた。中国拳法は「発勁」という筋力に頼らない技法を用いることで知られ、力が弱い人でも強くなれるという点が、自分の興味を引いた。

しかし、少林寺拳法は中国拳法そのものではなく、日本人が中国拳法と日本の武道を融合させて創り出したものだ。少林寺拳法を学びながらも、中国拳法に関する雑誌を読み、興味を深めていった。合気道や新体道など、いわゆる“気”を扱う武道にも感心があり、次第にそちらへと傾倒していった。

高校2年生の初め頃、武術雑誌の仲間募集欄で「同じ高校生で交流しませんか?」という記事を見つけた。その人は形意拳法と燈籠拳を学んでいた。友達がいなかった自分は、この出会いに非常に興奮し、手紙を送って交流を始めることになった。

中国拳法の人と交流して大興奮

手紙のやり取りを通じて、形意拳法と燈籠拳を学ぶ人との交流が始まった。当時自分は横浜に住んでおり、待ち合わせ場所は埼玉県の大宮公園だった。大宮まで約2時間かけて向かい、最初は喫茶店でお互いのことを話し合った。共通の趣味を持つ人との交流に非常に興奮し、話が弾んだ。そして、話の流れからスパーリングをすることになった。

いの中の蛙、自身の未熟さに気づく

少林寺拳法ではスパーリングが行われないため、自身の実力を確かめる方法がなかった。それでも1年以上の練習で型をそれなりにこなせるようになっていたので、自分は強くなったと勘違いしていた。
しかし、形意拳法の人とのスパーリングでその勘違いが露呈した。自分の攻撃は簡単にかわされ、あっという間に投げられてしまった。その瞬間、自身の未熟さに気づかされ、ショックを受けた。1年間の練習がまったく意味をなさなかったわけではないが、まだまだ未熟だと感じた。

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より実戦の強さを求めて

実戦スパーの経験を経て、少林寺拳法だけでは強くなれないと感じた自分は、他の道場を探し始めた。その時、中国武術雑誌で目にしたのが第一回散打大会の記事だった。中国拳法は型が中心だが、その中でも実戦的な団体がトーナメントを行っていることを知り、特に横浜の大学の中国武術サークルが軽量級と中量級で優勝したことに興奮した。これこそが自分が求めていたものだと感じ、幸いにもそのサークルは外部の人も受け入れていた。

その団体の主催者は後に自分のトラブルを解決してくれる恩人となり、生涯尊敬する人となった。現在は経済研究の分野で著名人となっているその人、Kさんには本当に感謝している。