中国拳法のサークルに入り大学の楽しさを知る

高校生の時

中国拳法の大学サークルへの初参加

高校2年生の秋頃、ドキドキしながら主催者のKさんに連絡を取り、見学に行くことになった。練習場所は大学の体育館で、自宅からは約1時間の電車の旅だった。Kさんと会うと、想像していたよりも全く異なる人物だった。身長175センチくらいのやせ型で、筋肉隆々とは言えない普通の人だった。しかし、練習が始まるとその技の力強さに驚かされた。特に回し蹴りの威力は凄まじく、ミットを持つ人が吹っ飛ばされるほどだった。

「これが本場の実戦中国拳法なんだ」と感じ、Kさんに教われば自分も強くなれると確信した。見学とはいえ、少林寺拳法の経験者としてキックミットの練習に参加した。しかし、自分の蹴りは力弱く、「そんな蹴りは小学生も殺せない」とKさんに指摘された。

この時、型の訓練だけでは強くなれず、ミットやサンドバッグなどを使った実際の打撃訓練が必要だと理解した。そして、スパーリングなしでは真の強さは得られないという結論に至った。その日のうちに入会を決めた。

サークルのメンバー

練習メンバーは当時、Kさんの他にFさん、Yさん、sさん、KmさんTさんの5人で行われた。Fさんは自分と同じくらいの身長で、非常にひょうひょうとした人だった。YさんはKさんと同じ故郷出身で、どうやら同じ高校を卒業していたようだ。sさんは自分よりもひ弱で、眼鏡をかけた勉強家タイプの人だった。

そして、Tさん。このTさんとは後に大きなトラブルを経験することになるが、当時は自分が最も憧れていた人物だった。Tさんは身長は低めだが、スポーツマンタイプで上半身が非常に発達していた。そのユーモラスな話し方と、女性にも人気のある外見で、非常に魅力的な人だった。TさんはKさんと同様に格闘技の腕前が高く、先日の大会でも優勝していた。

そして、自分が入会した後に、自分と同じ高校生のKMさんが入会した。KMさんも自分と同じく中国拳法マニアで、このメンバーでサークル活動が行われ、中国拳法に関する話でよく盛り上がった。

楽しいサークル活動の日々、学園祭参加で大学受験のモチベーションアップ

高校時代、僕には気の合う友達がいなく、常に一人ぼっちだった。今振り返ると、その時期における唯一の生きがいと救いはサークル活動だったと言える。

主催者であるKさんとは年齢が4つも違ったが、中国拳法という共通の趣味と、同じ雑誌を読んでいることから会話が弾んだ。練習後には一緒に食事をしながら中国拳法について語り合う時間が楽しみになった。高校生活はほとんど色褪せてしまっていたが、このサークル活動だけは心から楽しめる時間だった。

当時高校2年生だった僕は、大学に対する具体的なイメージを持っていなかった。しかし、サークル活動を通じて大学に通うようになり、「大学って本当に楽しい場所なんだ」と感じるようになった。

特に印象的だったのは大学の学園祭に参加した経験だ。11月に行われた学園祭で、中国拳法サークルも模擬店を出店することになり、僕たちは焼き鳥を販売した。人前で声を大にして物を売ることは僕にとって非常に苦手なことだったが、この時ばかりは大きな声で焼き鳥を売り歩き、自身の成長を実感できる貴重な体験となった。

学園祭は非常に盛り上がりを見せ、僕自身も楽しむことができた。そして、その時に「将来は絶対に大学生になる」という明確な目標を持つことができた。

この学園祭の経験が後の僕を形成する大きな要因となった。成績が特に良いわけではなかったが、この時に得たモチベーションの力を借りて、猛勉強を行い、中堅の私立大学に現役で合格することができたのは、この時の経験が大きく影響していると確信している。

なぜ大学に入りたくなったのか。その背景には非常に長い経緯があり、それは疑似的に楽しい大学生活を体験したことに起因している。そのきっかけを作り出してくれたのは、少林寺拳法と武道(中国拳法)であり、これらは自分の人生の節目で大きな役割を果たしてくれた。

もし、この出会いがなかったら、自分はどうなっていたのだろうか。それを想像することすらできない。もしかしたら、運動音痴でなければ武道に興味を持つこともなかったかもしれない。そして、吃音でなければ、胆力を養う、心を鍛えるという視点から武道を始めるという発想もなかったのではないか。

そう考えると、今の自分を形成してくれたのは、運動音痴と吃音という2つの大きなコンプレックスだった。これらのコンプレックスは自分を大きく苦しめたが、逆に良い出会いへと導いてくれた。人々や武道との出会いをもたらしてくれた。これらは神様が与えてくれたものなのかもしれないと感じ、感謝しなければならない。